2016年リオデジャネイロ五輪以来のメダル獲得はならなかったが、テレビ局の取材に応じた安永真白は清々しい表情をみせていた。

「最後、自分たちが出来る一番の演技を、この場で出来たことがすごく良かったなと思います」(安永)

 日本チームの種目ごとの成績は、TR 3位、FR 6位、AR 7位。FRでアクロバティック動作についたベースマークとARの結果が、メダルを獲得できなかった主な原因と考えられる。ただFRでベースマークがついたアクロバティック動作にARで再び挑み成功させたのは、最後まで諦めない気持ちの現れだろう。

 TRの3位という結果は、シンクロナイズドスイミングと呼ばれていた頃から定評のあった日本の堅実な技術力が今も認められている証明といえる。一方で弱点であるアクロバティック動作の強化が、2028年ロサンゼルス五輪でのメダル獲得を目指す日本チームの課題かもしれない。

 加えて、中島ヘッドコーチが、国によって試合前に得られるルールについての情報量に差があったという旨の発言をしたことが報じられている。ルール作りに関われるような体制の強化も、4年後に表彰台に立つためには必要かと思われる。

 チームの順位が決まったARから一日おいて、日本代表デュエットの比嘉もえ・佐藤友花がデュエット競技の戦いに挑む。(文・沢田聡子)

沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。フィギュアスケート、アーティスティックスイミング、アイスホッケー等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。2022年北京五輪を現地取材。Yahoo!ニュース エキスパート「競技場の片隅から」