パリ五輪のAS日本代表は最初の競技であるチームは5位で終えた
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 新ルール下で行われた、パリ五輪のアーティスティックスイミング(以下AS)。日本代表は、最初の競技であるチームを5位という結果で戦い終えた。

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 2023年に大幅なルール改正が行われたASは、試合前から序列が決まっていると言われた従来の形から大きく変わった。新ルールでは点数の上限がなくなり、各要素に点数がつくフィギュアスケートのような採点方法になったのだ。

 新ルールでは、試合前に技を実施する順序とDD(degree of difficulty、難易度)を記入したコーチカードを提出する。元々のDDで大差があれば、完璧に演技したとしても勝負できない。一方、試合でコーチカードの申告通りに技が実施できなかったと判定された場合、DDはベースマーク(最低難易率)となり、大幅に減点される。リスクを考慮しながらDDを上げていくため、ルール改正後は試合直前まで演技内容が定まらないケースもみられるようになった。

 チーム競技にアクロバティックルーティン(以下AR)が加わったのも、パリ五輪からの変更点だ。過去の五輪では、チームではテクニカルルーティン(以下TR)とフリールーティン(以下FR)を行い、その合計点で結果が決まった。しかしパリ五輪でのチームは三日間行われ、TR・FR・ARの合計点で順位が決まる。

 チーム初日のTR、演技終了時の日本の順位は6位だったが、中島貴子ヘッドコーチがプロテストという制度を使って行った抗議が認められ、3位に修正された。しかし、FRではアクロバティック動作にベースマークがついたことが影響し、4位に後退してARを迎えることになった。

 2月に行われた世界選手権(カタール・ドーハ)で7位だったこともあり不安が残るARを前に、主将の吉田萌はテレビ局による取材で意欲をみせた。

「まだまだ諦めていませんし、(明日のARでは)プールの水があふれるんじゃないかというぐらいのパワーと、気迫の演技をしたいと思います」(吉田)

 ワニを表現するARを全力で泳ぎ切った日本チームだったが、演技終了時の暫定順位はスペイン(銅メダル獲得)、フランスに次ぐ3位。その後に泳いだアメリカ(銀メダル獲得)、中国(金メダル獲得)にも超えられ、最終順位は5位になった。

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“課題”も残ったパリ五輪での演技