8月4日の広島戦で2カ月半ぶりに登板した中日・根尾昂だったが、厳しい現実を突きつけられることになった。
前半戦を5位で折り返し、後半戦での巻き返しを狙う中日だが、状況は苦しい。貧打が解消されているとは言えず、今年は先発陣もピリッとしない。柳裕也、涌井秀章、メヒアがファームで調整し、計算できる投手は高橋宏斗、小笠原慎之介の2人のみ。他の投手がこのチャンスを生かしてほしい、そんな状況で根尾の登板機会がやってきた。
今季は先発ローテーションから外れて開幕2軍スタート。5月中旬に救援要員で1軍昇格したが2試合登板で計3失点と結果を残せず、ファームに戻った。8月4日の広島戦は、2か月半ぶりのチャンスを与えられた先発登板だったが、投球内容を見ると1軍の水準に達しているとは言えなかった。
初回に先頭打者・秋山翔吾にストレートの四球で出塁を許すと、2番の野間峻祥には7球粘られてフォークを左前に運ばれる。その後は連打を浴びて一挙5失点。2回も秋山に143キロの直球を右翼席に叩きこまれた。3回8安打6失点のKO。この登板後に登録抹消されたが、やむを得ないだろう。
スポーツ紙記者はこう分析する。
「球が上にふけたり引っかけたりして明らかなボール球が多く、打者と勝負する以前の問題です。直球が走っていないので、フォークやスライダーに対応される。抑える球がない印象でした。『野手投げ』とも形容されていましたが、投手に転向した2年前の方が力強い球を投げていた。元々器用なタイプではないし、多少アバウトでも、ストライクゾーンにどんどん投げ込める直球を磨いた方が輝けるように感じます」
大阪桐蔭で投打の二刀流として活躍し、全国制覇を3度達成。18年のドラフトで中日、日本ハム、巨人、ヤクルトの4球団から1位指名を受け、抽選で中日に入団。将来の主力選手として嘱望された。