
岩沢:ゆずでこれだけ大変だったら一人でやったらえらいことになる。これで十分です(笑)。
北川:十分だよね(笑)。
岩沢:あと、ちょこちょこと休んではいるのですが、しっかり休みがあったとしてもうまく休めないところがあるんです(笑)。
北川:休まないと決めているわけではないのですが、やってみたいことがまだまだあります。強く「やらなきゃいけない」と思うと苦しくなってしまうかもしれないけど、トライしたいことがあったら迷わずいくのがずっと変わらないゆずのスタンス。例えば、これまでは曲がほぼでき上がってからストリングスを入れてみることが多かったのですが、「図鑑」はストリングスアレンジを踏まえて作った曲が多かったのが新しいポイントです。そのアプローチをやりきれたことで、「次もまた面白いことができるんじゃないか」というパワーをもらえました。
めぐり合わせの妙
――中学3年生の時に同じクラスになったことで一緒に歌を歌い始めた二人。30年以上共に時間を過ごしてきた相手のことをこう称す。
岩沢:元友達で、今は相方ですね(笑)。
北川:ちょうど僕が持っていないものを岩沢が持っていて、岩沢が持っていないものを僕が持っているということに驚きます。このめぐり合わせの妙は一度も狙ったことがなく、たまたま同級生だったところから自然とスタートしました。若い頃はあまり意識していなかったんですが、声のレンジにおいてもハモリにおいても本当によくできているんです。自分のことをすごいと思ったことはありませんが、「ゆずってすごいな」と思うことは多々あります。「ゆずはうまくできていてありがたいな」と。
岩沢:決して他のバンドがうまくできていないというわけではないですけど(笑)、確かにゆずはうまくできていると僕も思います。
(構成/ライター・小松香里)
※AERA 2024年8月5日号より抜粋