「斎藤知事は、A氏がいることで自分が目立たないからとドローンを後退させているのです。また、ドローン事業は、斎藤知事の前任の井戸敏三氏がいきなり数千万円という予算をつけたことがきっかけで全国で先頭を走ることになりました。斎藤知事は井戸氏の功績を全否定してきました。ドローン、空飛ぶクルマの成功が、井戸氏の手柄になりかねないことに我慢ならなかったはずです」
 

「聞いてない」と激怒

 A氏がメディアのインタビューでドローン事業の推進について語った記事を斎藤知事が読んだ時だった。

「こんな記事、知事が知らなかったのはどういうことだ」

と激怒したという。

 ある県議はA氏についてこう内幕を話す。

「みんな斎藤知事のパワハラをびびって反論しない。だがAは仕事に誇りを持っており、できるヤツ。斎藤知事を恐れることなく意見を言ったことで、異動させられたと聞いた」

 元県民局長の陳述書にも、ドローン関連事業が停滞し、知事の意向が確認できず、会議も理由なく開催されなくなったとの指摘がある。

<A氏の判断により何とか次年度事業の立案・調整を進めることができたが、その結果、空飛ぶクルマの新規事業については、ほぼ調整が終わった1月中旬になって、知事から「聞いていない」「勝手にやるな」と叱責を受けることになった>

 前出の大阪府議は、陳述書を読んでひっくり返るほど驚いたという。

「空飛ぶクルマ、ドローンが万博でどれほどバズるか、人気を博すかで、維新の命運が大きく変わる。吉村知事も、空飛ぶクルマを否定しかねない斎藤知事の姿勢に不満をもっている」

  そしてこう続ける。

「あの陳述書で、斎藤知事が維新の政策を否定していることがはっきりした。斎藤知事のおかげで、維新のイメージは地に落ちつつある。大阪では、斎藤知事退陣論があちこちから出ている。ここまでくれば、吉村知事も斎藤知事を見放すタイミングなのではないか」

(AERA dot.編集部・今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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