職員へのパワハラなど数々の疑惑が浮上している斎藤元彦・兵庫県知事がさらなる窮地に陥っている。辞職を求める包囲網が狭まりつつあるなか、唯一の救いである“県政与党”の維新からも不評を買い始めているのだという。原因は「空飛ぶクルマ」や「ドローン」。維新はこれを大阪・関西万博の目玉事業に位置付けているのだが、斎藤知事がこうした動きに水を差す言動をしたのだという。
斎藤知事は2021年の知事選で、保守分裂した自民の一部と維新の推薦を受けて初当選、両党の支えを軸に県政を運営してきた。今年3月、元西播磨県民局長(故人)が、パワハラなど斎藤知事にまつわる7項目の疑惑を告発。元県民局長の内部告発を十分に精査せず、懲戒処分を出したことで県議会に特別委員会(百条委)が設置され、疑惑の解明にあたっている。
アンケートなどによって斎藤知事のパワハラ事例が次々と明らかになり、与党の自民党が既に離反、県連大会などで公然と辞職を求める発言がでた。
一方、維新は擁護一辺倒だった。最近になり吉村洋文・大阪府知事は斎藤知事の疑惑について「真実はどうなのか。そこをまずはっきりさせることだ」と言いつつ、「(維新の県議たちは斎藤知事を)かばうとかは絶対にダメ」と厳しめな姿勢に転じている。
そんな頼みの綱の維新を怒らせている原因は、元県民局長が百条委に提出した陳述書。そこにこんなくだりがある。
〈知事は周囲に「ドローン事業がすごいストレスだ」と公言していた。令和4年12月19日に開催したドローンシンポジウムの場において突然(斎藤)知事からドローン事業の見直しを示唆する発言があり、現に令和5年度限りで明確な理由なく事業廃止となった>
そこで問題のシンポジウムにおける斎藤知事の発言をチェックしてみると…
〈民間のスタートアップ(企業など)は最終的にはマネタイズして、持続可能な経営につなげることが大事。本来、スタートアップであれば投資とか、ファンドを活用していただきながら、やっていくのがあるべき姿。これまでの実績や取組を一度、検証して、民間と行政含めてどこまでどうやるべきかを一度、考えてみることも大事」