TOKYO FMのラジオマン・延江浩さんが音楽や映画、演劇とともに社会を語る連載「RADIO PAPA」。今回はマイケル・マン監督の映画「フェラーリ」について。
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村上龍さんにキューバ音楽を洗脳され、惚れこみ、聴きまくっていた頃の話だ。
メキシコ経由でハバナまで行き(3回も!)、バンドを招聘し、龍さんをプロデューサーに日比谷野外音楽堂でライブまで開催、レーベルも設立してCDを売った。
日本公演時の彼らアーティストの顔に僕はある種の倦怠を感じた。
芸術を糧として外貨稼ぎの一端を担わなければならない宿命と、それにしてもなぜこんな極東まで来て演奏しなければならないんだという意識の表れだったのかもしれない。しかし、演奏はやはりもの凄く、連日連夜観客の度肝を抜いた。
ライブを観ながら龍さんが言った。
「この凄さはF1マシンで公道を走るようなものだ。誰も制御できない」