運転免許証にもICチップは入っているが…。画像はイメージ(GettyImages)

なぜ運転免許証のICチップではダメなのか

 AERA dot.の記事では、経済ジャーナリストの荻原博子さんの以下のようなコメントを掲載した。

<政府はマイナンバーカードのICチップを読み取る専用アプリを開発するとのことですが、そうなると導入まで時間もかかります。それまで詐欺被害を野放しにするつもりでしょうか。マイナンバーカードを普及させるために、政府はすでに1兆1700億円もの税金を使っています。それなのに、マイナンバーカードのICチップを読み取る機械の普及や偽造防止などの対策すら追いついていないのが現状です。政府の行き過ぎたマイナンバーカード普及策に国民は振り回されています>

 運転免許証にはすでに本人確認が可能なICチップが埋め込まれており、それを読み取るシステムを転用したほうがコストが抑えられるのではないか。なにもマイナンバーカードのICチップを読み取るシステムを新たに開発する費用と時間をかける必要はないのではないか。

 その点を質問すると、前出の警察庁・宇田川氏は「警察官が職務中に使う運転免許証(のICチップ)を読み取る機械はあるが、防犯上、民間で利用できないようになっている」と回答した。

 また、リモートで取材に同席していた総務省の小澤孝洋課長補佐はこう述べた。

「民間で使用されている運転免許証の確認機械でも、本人確認を行う場合は発行時に登録した2つの暗証番号を入力しなければ確認ができないように設定されている。そのため、事業者にとっては使いにくいと聞いている」

 運転免許証のICチップ読み取りを民間業者に任せるのは、システム上の課題がある、ということのようだ。だが、それならマイナンバーが安全、安心なのかといえば、現時点では疑問符がつく。

 これまでも、「マイナンバーにひもづいた保険証に別人の情報が登録される」「公金受取口座に本人以外の口座が登録される」「マイナポイントが誤って別人に付与される」「コンビニ交付サービスで別人の住民票や戸籍の写しが誤って交付される」などトラブルが相次いでいる。

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最近もマイナンバーカードの偽造事件