「政府の伝え方は悪くなかった」
改めて今回の最大の論点である「本人確認をマイナンバーカードに一本化するかどうか」について聞くと、上仮屋氏は「(認証を)マイナンバーカードだけに限定するわけではない」と述べ、「原則として、という言葉がついている。マイナンバーカードに完全一本化というのは、もともと方針としていない」と続けた。
前述の犯罪対策閣僚会議でまとめられた「国民を詐欺から守るための総合対策」の当該部分にはこう記されている。
<犯罪収益移転防止法、携帯電話不正利用防止法に基づく非対面の本人確認手法は、マイナンバーカードの公的個人認証に原則として一本化し、運転免許証等を送信する方法や、顔写真のない本人確認書類等は廃止する。>
官僚独特の言い回しで「原則」「等」などの用語で例外をつくってはいるが、素直に読めば、政府がマイナンバーカードに一本化したい意図を持っていると受け取れるのは当然だろう。
その点を問うと、上仮屋氏はこう答えた。
「運転免許証などを使っての(ICチップの)読み取りを否定するところまで含んで言っているわけではない。政府としてもこの表現でいいということでこう表現をしている」
ただ、複数のメディアが携帯契約の際に「マイナンバーカードが必要になる」というトーンで報道したことについては、苦々しい思いがあるのかもしれない。
取材に同席した警察庁の宇田川佳宏警視監は「免許証を(本人確認で)もう使えなくなるという書き方をしたメディアには、個別で『間違っているのでは』と指摘し、誤解を解くようにしました」と述べた。
一方、デジタル庁は報道機関に修正の要望などは出していないという。