AERA 2024年7月29日号より

 iDeCoは一時金として受け取る場合は退職所得控除が、年金として受け取る場合は公的年金等控除が適用される。これらの税制優遇はメリットだが、逆に言うとNISAのように完全非課税ではない。出口の税金は気にならないか?

「受け取り時も完全非課税になったら言うことなしですが、所得控除をしてもらって最後も税金なしにしろというのは虫がよすぎるので自重します(笑)」

高く不透明な手数料

 ユキトさんの一番の願いは毎月の拠出金額上限の増加。

「NISAはつみたて投資枠で年120万円、成長投資枠も合わせると年360万円まで拡充されたので、iDeCoもせめて年60万円……月5万円ぐらい掛けられるとうれしい」

 ユキトさん以外からは、「手数料が高い」「途中で引き出せるように」という声が多かった。

 手数料に関しては本誌としてもぜひ改正を、と思う。国民年金基金連合会(以下、国基連)が初回のみ取る手数料が2829円。毎月拠出の場合はそのたびに171円(内訳は国基連に105円+信託銀行に66円)。これは月5千円の拠出でも6万8千円の拠出でも定額、という点がまたいただけない。月5千円で171円を抜かれると、資産の値動きがなかったとしても毎月3.4%ずつ目減りすることになる。掛け金を拠出せずに保有するだけ(運用指図者)でも信託銀行への66円は取られる。受け取るときも1回440円。移換するようなことがあれば4400円など。昭和か。これらは手数料が最安水準のネット証券の場合だが、銀行や対面証券のiDeCoではさらに高くなるケースもある。これらを改正でどこまで引き下げてくれるか。現状維持なら失望する。

 税理士で1級ファイナンシャル・プランニング技能士の西原憲一さんも、iDeCoの手数料に疑問を呈した。

「手数料が高いのもそうですが、それがどのように活用されているかが不透明。積極的な情報公開がありません。NISAより不人気とはいえ、iDeCoの加入者は328万人まで増えました。増加に伴い、手数料を少し引き下げてもいいはずです」

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