AERA 2024年7月29日号より

「凍結ではなく撤廃を希望します。iDeCoに加入している人とそうでない人の『税負担の公平性』が建前ですが、違和感があります。完全に無くせば『いつかは1.173%?』という不安要素が取り除かれます」

受け取り時の課税継続

 受け取る時の税金も非課税にしてほしい、という要望は。

「これはさすがに非課税とはならないでしょう。掛け金が全額所得控除されていますから、受け取り時も課税しないという発想にはなりづらい。もし非課税にするのなら、制度開始時にそういう建て付けにしているはずです。企業版DCとの整合性も考慮する必要があります」

 そういえば、iDeCoにも関わる「退職所得控除の見直し」が報じられたが消えた。

「結局は政治の話。この手の案は浮かんでは消え、の繰り返しです。経済情勢や選挙、他の政策とのバランスで締めたり緩めたり。租税負担率と社会保障負担率を合計した『国民負担率』が45.1%(24年度見通し/財務省)まで来ている状況でのさらなる徴税には反対したい」

 この状況を、江戸時代ならぬ「令和の時代の五公五民、一揆寸前?」と表現した記事を見かけた。まさに。(経済ジャーナリスト・向井翔太、編集部・中島晶子)


西原憲一さん(にしはら・けんいち)(52)/税理士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。投資の税金、相続も強い。会計、コンサルで多忙な現場屋(写真:本人提供)

AERA 2024年7月29日号

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