AERA 2024年7月29日号より

 手数料の大半が「天のほうから国基連に下りていらした方の、謎に高そうな人件費」に消えていたら……と、根拠のない邪推をしたくなろうというもの。

 iDeCoは、どこが改正されそうなのか?

「まず加入可能年齢の引き上げ。一律70歳まで加入できるようにという案があります。次に拠出限度額(積み立てるお金)と、受給開始年齢(受け取る時期)の上限の引き上げ。この二つは今年の公的年金財政検証に併せて結論が出る方向です。手続きの簡素化も進みそうですね。現状は紙でしかできない手続きも多いので、マイナンバーを活用したデジタル化に舵を切ります」

 西原さんは、老後まで資金を引き出せない点にも触れた。

「住宅資金や教育資金など、まとまったお金が必要となる世代にとって、iDeCoは優先順位が低くなります。老後資金のフォローが目的の『年金制度』ですから資金ロックをかける意義はわからなくもないですが、条件付きでの引き出しを認めて加入のハードルを下げてもいいのでは、と考えます」

米国では引き出せる

 米国の確定拠出年金「401k」(米国の内国歳入法401条k項に基づき導入されたことに由来)では特に理由がない場合、10%のペナルティー課税がありつつ、引き出し可能となる59.5歳より前に引き出せるという。さらに「恒久的な障害を負った」「長期失業で医療保険を払う」「自分か家族が最初の家を買う」「自分か家族の高等教育費」などの名目であれば、一部金額制限があるもののペナルティーなしで引き出せるという。もっとも、このルールにより「物価高による生活苦で引き出す人が増加」「退職時に引き出すケースが多い」という米国での報道も散見される。引き出しの是非について結論は出ないが、iDeCoの不安の一つは解消されるだろう。なお、個人型確定拠出年金と同種の制度で米国のように中途引き出しを可能にしている国は今回の取材で見つけられなかった。

 凍結されたままの、特別法人税に関してはどうか。特別法人税とは企業年金の年金積立金に対して課されるが、iDeCoも対象だ。積立金の全額に一律1.173%。凍結(とりあえず取らない)の延長が続いており、今のところ「26年3月末まで凍結」である。

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