今季がプロ7年目の山本大貴(写真提供・東京ヤクルトスワローズ)
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「ヤり返せ! TEAM SWALLOWS 2024」をスローガンに掲げながら、セ・リーグ首位の巨人とは9.5ゲーム差の6位で今季前半戦を終えたヤクルト。投手陣がリーグワーストのチーム防御率3.40と苦しむ中、貴重な中継ぎ左腕としてブルペンを支えているのがプロ7年目の山本大貴(28歳)である。

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「前半戦ですか? 70点、80点はあげてもいいんじゃないですかね」と本人の自己採点は控えめながら、今シーズンの山本はここまで目覚ましい働きを見せている。登板35試合、11ホールドは共にチーム3位。20イニング以上投げている投手に限れば防御率1.30はチーム2位、奪三振率9.11(9イニング換算の奪三振数)は同1位になる。7月20日のDeNA戦(神宮)では激しい雨の中、8回表に登板して3者凡退に抑えると、その裏に味方が逆転して自己最多となる3勝目が転がり込んできた。

「自分が(マウンドに)行った時に流れを引き込めるというか、球場の空気を変えるというか、そういうピッチャーになりたいっていうのが理想なんですよね。あの(20日の)試合は雨も降ってたんで、あそこで長々(時間が)かかっちゃうと来るもの(流れ)も来ないかなと思って、とにかくテンポ良く、なるべく少ない球数で(打者)3人で帰って来られたらベストかなって。ちょっと球数(15球)かかっちゃいましたし、僕が抑えたから流れが来たのかどうかは分かんないですけど、最低限のやることはできたので結果的にそういうふうになって(チームが逆転して)良かったなと思います」

 北海道出身の山本は北星学園大付高卒業後、社会人の三菱自動車岡崎を経てドラフト3位で2018年にロッテへ入団。初めての春季キャンプでは突如として制球難に陥り、2年目には東洋大学との練習試合で1イニング7失点の屈辱を味わうなど、幾度も辛酸を舐めてきた“苦労人”でもある。

 プロ3年目の2020年には12試合の登板で防御率2.63という結果を残すも、2021年は一軍登板ナシ。2022年のシーズン途中でヤクルトへのトレードを告げられると、山本は「これはチャンスなのかもしれない」と前向きにとらえた。この年、新天地での一軍登板は5試合にとどまったものの、翌2023年はキャリアハイを大幅に更新する42試合の登板で防御率2.55をマークし、プロ初勝利を含む2勝を挙げた。この経験が「めちゃくちゃ大きかった」という。

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今シーズン“躍進”のワケは…