表現に使える画質になったレンズベビー
自由雲台ふうな仕掛けで光軸を傾けられる鏡胴にレンズユニットの組み合わせでボケを自在に操るレンズベビーシリーズ。個性的なボケレンズと光軸傾けの組み合わせで「普通とは違う写真が楽しめる」、つまり普通の写真にはならないのが特徴だと思っていたが、今回のエッジ50は至って正統派なレンズだ。
同じ50mmの焦点距離でもF2.5のスウィート50は、普通に撮っても周辺に向かって流れるようなボケを演出するような(まともには撮れない)レンズなのだが、エッジ50は均質でクセのない描写で、目いっぱい光軸を傾けても余裕の感じられるイメージサークルの広さがある。レンズベビーのくせに(失礼)、どれだけ本気出してるんだよ!といった感じだ。
F値は3.2と控えめだが、その絞り開放のやや滲みを残した繊細な描写は魅力的でもあり、これがクラシックレンズならば確実に名玉の類い。この描写特性は、手持ち&マニュアルフォーカスというあいまいな条件でのティルト撮影との相性も悪くない。このあたりも、なかなか計算して作っている印象だ。光軸真っすぐを維持できれば常用レンズとしても魅力的。
デザイン
カメラに取り付け、ティルト機構のある鏡胴のコンポーザーもプロIIとなり、フォーカスリングの滑り止めなども金属製で見た目の高級感も少しアップ。それに取り付けるレンズ部も、同じ50mmのスウィート50よりも全長が長めなこともあり少し前に出て絞りの操作も容易なデザインとなっている
使用感・操作感
手持ち撮影で、ファインダーをのぞきながら光軸とフォーカシングの操作を同時に行うことが苦にならない使用感と操作性だ。逆に光軸真っすぐな普通の撮影には、それなりの技術とコツが必要になる
描写性
絞り解放時のピント部分での繊細な滲みや、滑らかなボケ。どこをとっても上品な描写なので、ティルトを多用した不自然なピントの写真でも汚い印象になりにくい。むしろティルトなしで真っすぐを堪能したくなるほど
◆ まつうらやすし
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●焦点距離・F値:50mm・F3.2●レンズ構成:6群8枚●最短撮影距離:20.3cm●画角:ティルト角度:0~15°●フィルター径:Φ46mm●マウント:ニコンF用、キヤノンEF用、ソニーA用、ソニーE用、ペンタックスK用、富士フイルムX用、マイクロフォーサーズ用●大きさ・重さ:Φ82.5×63.5mm・283.5g●価格:オープン(実売5万5610円)