生活スタイルに合わせて働けるメリットもある非正規雇用。だが、雇用期間や収入に不安を抱える人も多い。アンケートに寄せられたデメリットとは。AERA 2024年7月29日号より。
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「収入が低い」「福利厚生の面で正規に劣る」「ボーナスや退職金がない」「雇用が安定しない」──。
6月、AERAが実施したアンケートに寄せられた非正規雇用のデメリットだ。
非正規雇用にはパートやアルバイト、契約社員や研究者が含まれる。2013年に改正された労働契約法では、契約期間に定めがある労働者の雇用契約が反復更新されて通算5年(研究者は14年から特例で10年)を超えたときは、労働者が申し込めば無期雇用に転換できる。しかし、契約を更新しない「雇い止め」をめぐって裁判も起きている。
経済状況や企業などの業績が悪化しても雇用を継続しなければいけない正社員の採用に企業が慎重になる中、非正規雇用が都合の良い“調整弁”にされる状況が続いている。
デメリットがより強調されるのが、仕事の内容が正社員と同じ場合だ。
行政機関で会計年度任用職員として働く神奈川県に住む女性(53)は、こう話す。
「身分の安定や収入面で、正規職員とはあらがいがたい差がある。『私の方が仕事をしているのだから査定してほしい』と思うことがあります」
女性が大学を卒業して最初に勤めたのは出版社だった。長男を出産後、1年間の育休をとって復職したものの、夫の働き方は変わらず、家事と育児は女性がほぼ一人で担うことになった。
仕事と家庭の両立の難しさについて、職場で相談できる雰囲気はなく、会社を辞めてフリーランスで編集者として働くことにした。「子どもと一緒にいられていいね」と言われることもあったが、日中に別の用事を済ませる代わりに夜中まで仕事をすることも。時間の融通が利く代わりに、仕事時間の区切りがつけにくかった。編集の仕事はやり切ったとの思いもあり、3年前、関心があった現在の仕事に就いたという。