ターミナル駅は別として、地域によってはタクシーを捕まえることが困難なこともる(写真はイメージです/gettyimages)

IP無線や配車アプリが急速に普及

 無線を使うには、総務省(誕生当時は郵政省)の免許が必要で、ほとんどのタクシー会社は無線免許を持っていた。2003年前後にはタクシー無線を搭載する割合(無線化率)はタクシー全体の99.8%に達し、無線を使って地域のニーズに沿った配車供給を行ってきた。

 ところが、そんな状況はこの十数年で一変した。2010年代以降、スマホの通信網を使ったIP無線や配車アプリが急速に普及したためだ。

IP無線や配車アプリを使えば、従来のタクシー無線を利用しなくても、会社や客とやり取りできる。結果、100%近かったタクシー無線の利用率は、今では5~6割程度に落ち込んだ。連合会の会費収入もピーク時の3割ほどまで減り、前述の通り、連合会が解散を決めた大きな理由となった。

 記者も使っているが、配車アプリは確かに便利だ。どこにいてもスマホひとつでタクシーをつかまえることができる。

電話でタクシーを呼ぶニーズ

 だが、岡崎さんは、「タクシー会社の経営や運転手に余裕があるわけではありませんし、効率よく稼ぐ必要があるのはわかる」としたうえで、「効率や売り上げばかりを優先していいのか」と問題を提起する。

「高齢者や地方部でなど、今でも電話でなければ配車を頼めないお客さんは少なくありません。にもかかわらず、効率的に稼げるアプリ配車を優先し、時間帯によってはお客さんからの電話に出ない会社まであると漏れ聞いています。タクシーは単なるサービス業ではなく、地域の公共交通機関としての役割があることを忘れないでほしい」

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地域の交通機関としての役割