図書館を利用するのもいい。返却期限が“いい意味”のプレッシャーになり読書数を増やしてくれる(写真/iStock / Getty Images Plus)
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 働いていると、なぜ本が読めないのか──。忙しいから、仕事のための読書が優先になるから。いろいろ理由はあるが、忙しくても読んでいる人はいる。どうすればいいのか。そもそも本が読めないのは、自分のせいなのか? AERA 2024年7月22日号より。

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「25週、連続読書記録を達成しました!」

 アマゾンから、そんなお知らせが届いた。読めば私はKindleで毎週少なくとも1冊は本を読了していて、その記録が25週も続いているという。私ってば読書家かしら?と自分に酔いかけて、本のリストを見て驚いた。認知症を防ぐレシピの本やら、億り人を目指す投資の本など、仕事絡みの本ばっかり。趣味で読んだ本はなんと0冊だ。

 ダメでしょ、自分……。そうヘコんでいたところ、こんな本が話題になっていることを知った。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)。著者の三宅香帆さんはこう言う。

「社会には個人で変えられる問題と、社会が変わらなければ解決しない問題があります。仕事が忙しいなど個人的事情で本が読めないと思っている人も多いですが、実は社会構造の問題が大きい。これがこの本で一番伝えたかったことですね」

 三宅さん自身、会社勤めをしていたとき、自分が大好きだった書店という世界と会社という世界が断絶していることを、強く感じた。なぜだろう。そんな答えを求めて、明治時代から自己啓発書が席巻する現代まで、いつ、どんな本が読まれ、労働者をどう変えたのかという歴史をひもときながら、仕事と読書との関係を探っている。

「これまでこうした切り口で読書を考えたことがなかったと、ポジティブに捉えてくれる読者が意外なほど多かった」

 そんな三宅さんが、働きながら本を読むコツとして、本のあとがきでもおすすめしている具体的な方法がこれ。書店に足を運ぶことだという。

書店に行くことが重要

「書店に行くことは、本への基本的なアプローチのようでいて、実は何より重要と私は思っています。今すごく書店さんが減っていて、なかなか難しい面もあるとは思うんですけど、 でも書店さんに行くと、本を読みたくなるみたいな効果はたしかにありますよね」

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