医師の鬼・珠世。アニメ「柱稽古編」人物紹介より。(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
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【※ネタバレ注意】以下の内容には、アニメ、既刊のコミックスのネタバレが一部含まれます。

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 劇場版3部作として上映予定の『鬼滅の刃』「無限城編」に高い関心が集まっている。アニメ「柱稽古編」の最終話では、鬼殺隊の長・産屋敷耀哉とその家族による決死の作戦実行が、迫力ある映像とともに話題になったが、鬼の珠世が鬼殺隊側(人間側)につき、岩柱・悲鳴嶼行冥と連携する様子も、印象深いシーンとなった。珠世が用意したのは「鬼を人間に戻す薬」。この薬を用いて珠世は鬼の始祖・鬼舞辻無惨と相対することになる。「人間に戻す薬」が誕生した背景とその謎、隠された珠世の愛憎や無惨に対する心火について考察する。

*  *  *

「最強の鬼」の唯一の“弱点”

「柱稽古編」最終話では、鬼舞辻無惨を倒すための方法が、『鬼滅の刃』の物語が始まって以来、はじめて明確に示された。産屋敷耀哉が悲鳴嶼行冥にむけて、こんなふうに説明している。

「恐らく無惨を滅ぼせるのは…日の光のみではないかと思っている… 君が頚を破壊しても彼が死ななければ 日が昇るまでの持久戦となるだろう…」(産屋敷耀哉/16巻・第139話)

 「先見の明」に優れた耀哉の推察は的中する。特別な鬼である無惨には、鬼の弱点であるはずの「日輪刀」も「藤の花」も、「頚(くび)への攻撃」すらも、決定打にならないのだった。耀哉から作戦を託された悲鳴嶼は「夜明けまで この化け物を日の差す場に拘束し続けなければならない」と、無惨の力を削ぐ計画を立てる。そのために最初に「捨て身の戦法」をとったのが、無惨と深い因縁を持つ鬼の珠世だった。

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植朗子

植朗子

伝承文学研究者。神戸大学国際文化学研究推進インスティテュート学術研究員。1977年和歌山県生まれ。神戸大学大学院国際文化学研究科博士課程修了。博士(学術)。著書に『鬼滅夜話』(扶桑社)、『キャラクターたちの運命論』(平凡社新書)、共著に『はじまりが見える世界の神話』(創元社)など。

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珠世と無惨を結び付ける「重い病」