「思いあれば道あり」という言葉が、好きだ。ホンダを興した本田宗一郎さんは「夢は、持ち続けなければ実現しない」と言った。思い続けていれば何かしらの道が開けるが、「まあいいか」と諦めた瞬間、可能性はゼロになる。自分の歩みを含め、若い社員に、そう話している。

 2022年1月、持ち株会社キリンホールディングスの常務執行役員兼キリンビールの社長に就任。その前に、グループ企業で、岩手県で乳製品をつくっている小岩井乳業と、清涼飲料のキリンビバレッジで社長を務めた。米国のバーボン企業を合わせ、トップは4社目。すべて違う事業分野だ。

 機会があれば、また海外の仕事がしたい。ただ、入社以来の夢をかなえてくれた会社へ、いまは恩返しの時期。『源流』から続く「YOU」が第一という流れの行く先は、本人にも、まだみえていない。(ジャーナリスト・街風隆雄)

AERA 2024年7月22日号