「ニコニコ超開示」──。ニコ動が主催してきた大規模集客イベント「ニコニコ超会議」をもじった掲示板のスレッドが乱立した。X(旧Twitter)のトレンドワードにも入った。事件であるという感覚に乏しく、面白半分にとらえている様子がうかがえる。
これがKADOKAWA側をさらに追い詰めている。ドワンゴのある社員は「自分の個人情報が含まれていた。家族がいて、不安で仕方がなく引っ越しを考えている。興味本位で情報をさらすネット民たちは本当にやめてほしい」と訴える。
一方で複雑な心境も語った。
「ネット民たちを刺激する動画コンテンツでニコ動はビジネスをしてきた。ニコ動を応援してくださるネット民が多いことも承知の上だが、今回の『祭り』の傾向と似たものを感じてしまう」
KADOKAWAは3日、さらなる情報流出について事実を確認するとともに、学校法人「角川ドワンゴ学園」が運営するN高校などの在校生や卒業生の情報も流出した可能性が高いことを発表した。被害がどこまで広がるのか、発表からは同社も正確に把握できていない様子がうかがえる。
「法的措置講じる」
5日には、ネット民たちによる情報の拡散は「不正行為」だとして、「法的措置を徹底的に講じる」と発表。10日も刑事告訴の準備をしていると警告した。ただ自身の情報が流出していることを確認した場合は、自ら削除申請を行ってほしいとも呼びかける。
KADOKAWAを攻撃したブラックスーツをはじめ、ランサムウェアを使う犯罪集団について専門家らが指摘するのは、いずれも「ロシア・東欧系」のメンバーが中心に暗躍しているとされる。
根拠の一端として、犯行声明の英文が直訳的で、表記からロシア語やウクライナ語が母語になっていると考えられる。実際、各国の警察当局が過去に摘発した犯罪集団のメンバーも、ロシア、ウクライナ、ポーランドといった国籍の人物ばかりだ。
神戸大名誉教授の森井さんは、「KADOKAWAから盗み取った情報が膨大だとすれば、犯罪集団が分析し、内容を仔細に把握しているとは思えない。何より日本語の壁がある」と指摘する。