「指紋を残さないなど用意周到にみえて、頭部は浴室に置きっぱなし。綿密な計画性と行き当たりばったりの感じが入り交じっている」(同)

 瑠奈容疑者らの自宅は、修容疑者が2004年に新築で購入したという。敷地が約100㎡あり、3階建てのコンクリート造り。犯行に使用された車も高級車といっていい。修容疑者は精神科医として講演などもしており、医師としての評判もよかったという。

医師の評判もよかったという田村修容疑者

 瑠奈容疑者は小学校高学年のときから引きこもって不登校だったというが、修容疑者のSNSや知人の話などからは、ゴスロリ系のファッションが好きな瑠奈容疑者に頼まれたのものを買ってきたり、同じような格好をして出かけたりと、仲が良い親子といった様子がうかがえる。

 この家庭と犯行を結びつけるものはなんだったのか。

専門家「3人の精神状態はどうなっていたのか」

「瑠奈容疑者は会社員男性と何度か会うなかでトラブルを抱え、暴行も受けたという話が出ています」(同)

 被害者の会社員男性と瑠奈容疑者は、少なくとも事件の1、2カ月前には顔を合わせていたようだ。

 会社員男性は、週末に札幌市内のディスコなどに女装して出入りしていたという。そこでは女性たちと話している様子がよく見かけられていた。

「(会社員男性は)コロナ禍の前から女装した格好でよく来ていましたよ。女装することで若い女性とも会話がしやすい雰囲気を作っていたようです。女性たちのなかには『女装する人』ということで、男性として警戒はしていなかったという人も結構いました。(会社員男性は)女装の腕がすごくて、『メイクはこうやってやるんだ』とか話して、うまく溶け込んでいました。ただ、トラブルも少なからずあったようです。瑠奈容疑者ともディスコで知り合ったと聞いています」

 ススキノの飲食店経営者がそう話す。

 元検事の落合洋司弁護士は、

「切断した頭部を自宅に置いたままで隠す様子もなく、腐敗が進んでいるという信じがたい事件。今後は、殺人容疑も視野に捜査をしていくことになるはずです。検察は最終的に起訴するかどうかの判断のために、瑠奈容疑者の精神鑑定をするでしょう。頭部を自宅に置いて、犯行から20日以上も暮らしていた修容疑者や浩子容疑者もどんな精神状態にあったのか。真相解明には、まだまだ高いハードルがあると思います」

 と話している。

(AERA dot.編集部 今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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