食事のメニューは?
政府専用機は通常、北海道にある航空自衛隊の千歳基地(千歳市)に置かれている。
航空幕僚監部で、政府専用機などの運航を調整・支援する運用支援・情報部運用支援課に所属する永野雄三さん(48)は、政府専用機の機長経験もある。永野さんによると、パイロットはもちろん、機内サービスを担当する客室乗務員もすべて、北海道・千歳基地の特別航空輸送隊に所属している航空自衛官だ。
パイロットは、輸送機のパイロット経験者を基準に選ばれる。そして異動が決まると、民間航空会社で数カ月の研修を受けて、機長や副操縦士の資格を取得することになるという。
機内で天皇陛下に出される食事は、栃木県の御料牧場から運ばれたもの――そんな噂がささやかれたこともあったが、食事は民間機と同じケータリングサービスを利用している。
VIPの食事は民間機のファーストクラスと同程度のもので、日本料理やフランス料理などが一品ずつ、皿に盛り付けされて提供される。VIP以外の搭乗者の食事は、民間機のビジネスクラスと同程度のメニューだという。
機内には、総理や天皇や皇族が使う部屋や会議室、事務作業室があり、旧型機では同行記者の取材に答える記者会見のスペースなどもあった。機内の詳しい情報はセキュリティ確保のために一部をのぞき、非公開とされている。
政府専用機の「依頼」は突然に
政府専用機は民間機と異なり、定期的な運航のスケジュールはない。内閣官房や宮内庁から防衛省が「依頼」を受け、運航の予定が定まっていくのが基本だ。
たとえば皇室メンバーの海外訪問は、数年前から調整が始まり、相手国から「招待状」が届く。ある程度の予定は見えているが、正式決定されて「依頼」が来るのは日程の直前になることも多い。
天皇、皇后両陛下の英国訪問は6月22日からだったが、政府の閣議決定を経て、正式に訪英が決まった6月4日以降に「依頼」が届くことになったという。