神田愛花さん(撮影/写真映像部・東川哲也)

 いただけるお仕事があるうちが花である世界だとわかっているし、こういう仕事の仕方をしていたら当然私のことを追い越していく方はたくさん出てくるでしょうけど、無理に心の声にあらがって自分自身が揺らいでしまうよりはいいかなと思っています。

「ぽかぽか」はドキュメンタリー番組?

――NHKアナウンサーとして培った経験は、今の神田さんの強みになっていますか?

 私にとってNHK時代の一番の学びは、目の前の出来事に即座に反応するということ。報道であってもバラエティーであっても、その姿勢はDNAに刻み込まれている気がします。

 たとえば、アメリカの大統領が来日して飛行機のタラップを下りてくるとき、中継先のアナウンサーがその様子を実況しますよね。一方で、生放送である「ぽかぽか」の現場でも、スタッフさんがステージから客席に下りる階段でコケちゃったり、いろんなハプニングが起きるわけです。それを認識したうえで無視するのか反応するのか、今現場で起きているリアルをどう生かすのか、瞬時に判断して言葉にすることは、アメリカ大統領の来日と重みはちがうかもしれないけど、本質的には同じだと思うんです。

 だから私は、「ぽかぽか」はバラエティーというより、作られた世界とはちがうドキュメンタリー番組だと思って臨んでいます。そういう視点は、「アナウンサーでも、気持ちは半分ジャーナリストであれ」というNHK時代の教育がなければ持つことはなかっただろうと思います。

 とはいえ、番組で変なことを言って笑われている私の姿を見て、「NHKも嫌がるだろうから、元NHKって名乗るのはやめたら?」なんて冗談を言ってくる人もいます。でも、ほかのNHKアナウンサーも私みたいにフリートークを求められたら、みんなおかしなことを言う気がしますよ? 普段の仕事内容的にバレていないだけで、面白くて変わった方はいっぱいいると、私は勝手に思っています(笑)。

(聞き手・構成/AERA dot.編集部・大谷百合絵)

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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