「のち晴れ」の意味は

 ご主人は笑いながら、目には涙があふれんばかりでした。お二人のその掛け合いは、深い愛情の中に、どこかおかしさがあり、今でもじんわりと私の心を温めてくれます。

 曇っていたはずの日に、さわやかな晴れ間が訪れた瞬間でした。

 この日の記憶は、いつか岡田さんがいなくなった後も、ずっと、ご主人の心を温め続ける「晴れ」になるでしょう。

 本のタイトルは『ボケ、のち晴れ』。

 そう、「のち晴れ」という言葉には、介護をしている最中だけでなく、さよならした後もずっと続く「晴れ」という意味も込めています。

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川畑 智

川畑 智

かわばた・さとし/理学療法士 熊本県認知症予防プログラム開発者 株式会社Re学代表。1979年宮崎県生まれ。理学療法士として病院や施設でリハビリに従事した後、2015年に株式会社Re学設立。熊本県を拠点に病院・施設における認知症予防や認知症ケアの実践に取り組む。

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