Alexander Stubb/1968年生まれ。2024年3月、第13代大統領に就任。前大統領の路線を継承し、NATOやEUを重視した対ロ強硬政策を貫く(写真:小山 歩)
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 ロシアと国境を接するフィンランド。ウクライナ侵攻をきっかけに、軍事的中立を転換し、2023年にNATOに加盟した。ロシアの脅威についてどう考えているのか。アレクサンデル・ストゥブ大統領に聞いた。AERA 2024年7月15日号より。

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──フィンランドのストゥブ大統領は、EUの研究者としても知られ、今年3月に大統領に就任した。NATO加盟についてどう考えているのだろうか。

 私たちにとって安全保障政策は実存的な問題です。国民の90%以上がNATO加盟に賛成しており、ハードな安全保障のためには、加盟する必要性がありました。ロシアという脅威があるからです。

──ウクライナとは4月に10年間の安全保障協定を結んでいる。ロシアの脅威をどう捉えているのか。

 ロシアのウクライナ侵攻がフィンランドにもたらす脅威について、心配はしていません。理由はシンプルで、私たちはヨーロッパでも非常に強力な軍隊を持ち、NATOとEUのメンバーであり、民間も含めた軍事的な備えを持っているからです。

──EUにとって、24年は6月上旬の欧州議会に始まり、主要機関の選挙が続く大きな節目の年でもある。右翼政党の台頭を懸念する見方もあるが、どう見ているか。

 穏健な中道勢力が、全体的な連立を組むことができると考えています。ウクライナへの侵攻からこの2年、EUがこれほど結束したのを見たことがありません。

──アジア太平洋、インド太平洋地域の安全保障についてはどう考えるのか。

 北米、ヨーロッパ、日本、韓国、オーストラリアなどのグローバルウェスト、中国、ロシア、イランなどのグローバルイースト、インドやサウジアラビア、南アフリカなどのグローバルサウスの三つの勢力圏がありますが、グローバルサウスと協力することが重要になると考えています。

(構成/AERAdot.編集部・小山歩)

取材協力/フィンランド大使館

AERA 2024年7月15日号

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