ジョージ・ワシントン大学の救急医であるリアナ医師(※9)によると、「一般的に、軽度から中程度の運動をしている大人や、遊び場で遊んだり放課後にレクリエーションスポーツをしたりする子どもは、私たちが食べる食べ物には、必要な電解質が含まれているため、電解質補給を必要としない。水による水分補給で十分だ」といいます。そして彼女は、「スポーツドリンクの必要性を検討できるのは、暑い天候下で少なくとも 1 時間、屋外で激しい運動をするアスリート。ただし、電解質補充が必要かどうかは、発汗量、環境の暑さと湿度、運動の激しさなどの要因によって決まるため、皆が必要となるというわけではない。」と指摘しているのです。

 アメリカではたくさんの種類のエナジードリンクが販売されており、ジムでもたくさんのエナジードリンクの宣伝を見かけます。実際に、ジムではエナジードリンクを飲みながらトレーニングに励む人をよく見かけるのですが、リアナ医師(※10)によると、「エナジードリンクは、水の代わりにはならない」と忠告しています。

 エナジードリンクは、水分と電解質の補給を目的としたスポーツドリンクとは異なり、カフェインやL-カルニチン、ガラナなどの合法的な刺激物が大量に含まれています。特に、カフェインは短期的にはエネルギーを高めますが、利尿作用もあるため、結果的に、水分が失われてしまいます。カフェインを摂りすぎると、神経過敏や不安、不整脈を引き起こすことさえあるのです。

 どんな運動や活動であれ、水分の補給だけでなく、定期的な休息、そして、屋内で行うか、早朝や夜遅くに行うなどの暑さ自体を避けるという対策も重要です。個人的には無理をしないという、体調管理も大切だと実感しています。特に、夏の楽しいイベントでは無理をしがちですが、体調が芳しくなければ、無理をしていかない、休むということも、立派な熱中症や暑さ対策の一つと言えるでしょう。異常な猛暑がすでにやってきている今年は、昨年以上に対策が求められる夏になりそうです。

【参照URL】

(※1)https://tenki.jp/forecaster/t_fujikawa/2024/07/08/29483.html

(※2)https://tenki.jp/forecaster/a_shibamoto/2024/07/08/29484.html

(※3)https://www.cnn.com/2024/06/22/world/video/gupta-lklv-062201a-seg1-cnni-world-fast

(※4)https://www.cnn.com/2024/05/07/climate/record-hot-april/index.html

(※5)https://www.cnn.com/2024/07/06/weather/heat-record-temperatures-saturday/index.html?iid=cnn_buildContentRecirc_end_recirc

(※6)https://www.cnn.com/2024/07/05/weather/west-coast-california-oregon-heat-wave/index.html?iid=cnn_buildContentRecirc_end_recirc

(※7)https://www.nbcsandiego.com/news/local/brush-fire-in-del-mar-burns-near-buildings/3549557/

(※8)https://diamond.jp/articles/-/275331

(※9)https://www.cnn.com/2024/06/25/health/summer-heat-water-hydration-exercise-wellness/index.html

(※10)https://www.cnn.com/2024/06/25/health/summer-heat-water-hydration-exercise-wellness/index.html

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山本佳奈

山本佳奈

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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