AERAムック『大学院・通信制大学2025』より 撮影/今村拓馬 スタイリング/柴田拡美 ヘアメイク/石津千恵
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「7 MEN 侍」の本髙克樹さんは2023年3月、早稲田大学大学院を修了。さらには通信制大学でも学びを深めている。7月10日発売のAERAムック『大学院・通信制大学2025』(朝日新聞出版)では、これまでの軌跡と、目指す未来を聞いた。

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 中学1年生のときにオーディションを受け、芸能活動を始めた本髙克樹さん。それから13年。高校、大学、大学院での学びとアイドル活動を両立させ、2023年3月に早稲田大学大学院創造理工学研究科の修士課程を修了した。所属事務所ではSnow Manの阿部亮平さんに続く2人目の〝院卒アイドル〞となった。

 本髙さんが大学院への進学を意識するようになったのは、20歳のときのことだった。その理由を問うと「アイドルを辞めないことにしたから、です」と笑う。

「大学1年生のとき授業がめちゃくちゃ大変で、仕事に行けなくなったんです。なんとなくこのまま大学を卒業して、企業に就職することになるのかなと思っていました」

 転機になったのは、大学2年生のときだ。「7 MEN 侍」が結成され、本髙さんはそのメンバーの一人に選ばれたのだ。

「この先もアイドルとして生きていくと決めたので、せっかくなら研究も仕事に役立つレベルまでは持っていきたい。それには大学4年間の学びでは全然足りません。修士に進んで研究を続けることは、ぼくにとって自然な流れでした」

AERAムック『大学院・通信制大学2025』より

 大学で経営システム工学を専攻していた本髙さんは、同じ教授のもとで大学院の研究科に進んだ。

「ぼくの研究分野は『社会システムモデリング』といって、社会に起きている問題を分析して、そこに新たなシステムを導入した場合にどんな変化が起きるのか、問題は解決するか、などをシミュレーションするものです。この研究をエンターテイメントの世界で生かしていきたいと考えました」

大学院で学べる学問のレベルの高さを実感

 大学院に入ってみて、本髙さんは「学問にかける情熱が、学部とは全然違う」と実感したと話す。

「修士課程の論文集を読んだのですが、学部の卒論とは明らかにレベルが違いました。最初ぼくは漠然と『授業のレベルが高くなるからだろうな』と思っていたんですが、それだけじゃなく、教授との距離が近くなることも大きいと気づいたんです。授業の人数も少ないので、自分が所属する研究室以外の先生たちからも有益なアドバイスをいただけます。ぼくの考えを伝えると、その何十倍も優れた提案が戻ってくる。自分の未熟さを痛感しますね。でもそのぶん成長できたと思います。大学院は学問好きな人にとって、たまらない環境だと思います」

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初めての学会で発表 その結果は