AERA 2024年7月8日号

高見沢:声の質がまた全然違うからね。いくらでも書けますよ、3人いれば。

坂崎:だから飽きずに続けられるってのはあるよね。この曲は誰とか、ワンコーラスだけ変えたりとか、色んなパターンでできるから。

高見沢:ライブでは、そういう3人のハーモニーが重なる音とかを聴いてもらえるとより楽しめると思います。

坂崎:僕らも3人でよく行ったしなぁ。海外ミュージシャンのライブを観に、色々ね。

桜井:一度、「ミイラ男が出るから行こう」って高見沢に強制的にアイアン・メイデンのライブに連れて行かれたこともあったっけ。一瞬しか出なかったけど(笑)。でも、そうやって生で聴くことで初めて「こういうバンドなんだ」ってわかるんですよ。

坂崎:そうそう。その頃は「武道館は音響が悪い」ってずっと言われてたのに、ニール・ヤングのライブを観たときはめちゃくちゃ良くて驚いた。あとビー・ジーズは「3人で1本のマイクで歌うんだ」とか、ただ音を聴いただけではわからない発見があるからね。そういう「あのライブ良かったな」っていう経験が、今の僕らの音楽にも生きてます。

まさかのリリース中止

――今でこそレジェンドと呼ばれるグループになったが、デビュー直後は曲が売れず、一度レコード会社を辞めている。

高見沢:僕らのデビュー曲は作詞が松本隆さん、作曲が筒美京平さんっていうゴールデンコンビだったんですよ。なのに1枚目も2枚目も売れなかった。それで話題づくりのために3枚目は「府中捕物控」っていう3億円事件をパロディーにした曲を歌うことになって、結構ラジオでもかかってたんです。ところが色々な事情があってリリース前日に発売中止になってしまった。そんなこと普通あり得ないですよ。

桜井:もう営業所にも配布されちゃってたしね。

高見沢:かなりショックを受けました。でもね、怒っても仕方がないんです。なぜかって、僕らの曲じゃないから。作ったのは僕らじゃないから、何も口を出せないんですよ。それがもう、とにかく情けなくってね。

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