「一昨年に芸名を『太賀』から『仲野太賀』に改めた仲野。ラジオ番組で改名した理由の一つを話していたのですが、名前だけの芸名は親しみがある反面、目上の人に対して『太賀です』と挨拶することに違和感があったのだとか。そんなところからも、先輩に敬意を払っていることが分かりますよね」(同)

■父がブレイクした時と同じ歳になった

 今では売れっ子になった仲野だが、実は同世代の俳優に比べてブレイクするまで時間がかかっている。

「デビューは13歳の時ですからね。20歳くらいの時は周りと自分を比べて劣等感を覚えることも多く、苦しかったとインタビューで語っています。一方、売れない頃は『どういう流れで今の映画業界が成り立っているのか』『監督それぞれの特徴』などを勉強し、ただ一生懸命やるのではなく、どのポジションに行きたいのか戦略を考えることもしていたそうで、真面目で研究熱心なところもうかがえます。もちろん、下積みが長いのでちょっとのことではへこたれない強さもあるでしょう。仲野の場合、ちょうど良いビジュアルに加え、そんな憎めない一面と尊敬すべき一面があるからこそ、より人をひきつけるのだと思いますよ」

 ドラマウォッチャーの中村裕一氏は、そんな仲野の今後についてこう分析する。

「父親は同じく俳優の中野英雄であることをデビューしてしばらくは公表していなかったようですが、最近、当人たちがバラエティー番組やインタビューなどでそれぞれ面白エピソードを語っていることからも、良好な親子関係がうかがえます。後輩キャラ・ゆとりキャラが抜群に似合っていますが、映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』で見せた迫真の演技も印象に残っています。近年の活躍は俳優としてのポテンシャルの高さを感じさせますし、まだまだ可能性を秘めています。彼の父が平成の名作ドラマ『愛という名のもとに』(1992年)のチョロ役で一世を風靡したのが27歳の時。息子である彼は現在28歳と、今まさに同じような年齢にさしかかっています。運もあると思いますが、ここらへんで大きな当たり役とめぐり会い、俳優としてさらなる存在感をアピールすると共に、そこから先も息の長い充実した芝居人生を送ってほしいですね」

 今やドラマ、映画に欠かせない存在となった仲野。演技も見た目も性格も安心感につながっているのだろう。年を重ねることで余裕が生まれれば、さらに愛される俳優になるかもしれない。(丸山ひろし)

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