雛形あきこさん(撮影/写真映像部・東川哲也)

 でもテレビに出ても雑誌に出ても、自分が世間でどれだけの人に知られているのか、いまいち分からなかったです。当時はSNSもないし、家には寝るために一瞬帰るような生活で、外を出歩くのは深夜にコンビニに行くときくらい。サイパンのABCマートにいるときのほうが、よく声をかけられました。仕事は楽しかったけど、青春時代という意味では、あの一輪車とか扇ダンスの日々だったなと思います。

自分のプライベートへの不安

――仕事に打ち込む中、壁にぶつかったことはありますか

 二十歳のとき、同い年のいとこから「子どもができたので結婚する」と連絡があって、急に不安になったことはあります。私自身はずっと仕事が忙しくて、明日はこれがある、今日はこれを覚えなきゃ、なんて過ごしているうちに気がついたら中2から二十歳になっていたけど、その間にみんなは高校に行って大学に行って、ちょっとずつ大人になったんだなと。もちろん私もいろんな経験はしたし、充実した毎日に不満はなかったけど、このままで大丈夫なのかなという戸惑いが芽生えたというか。

 まあ、その直後に私も一度目の結婚をしたので、ひとまずは安心しました。でも子どもができて、出産4カ月前から産休をとったとき、また不安になるんです。

 昼間、家を掃除してごはんを食べたら、あとは何をしていいか分からない。友達はみんな仕事をしているし、テレビをつけると今まで私がいた場所に違う人が立っていて、なんだか置いていかれたような気分になりました。子どもができて幸せな一方で、私から仕事をとったら何も残らないのかもって。

 最初はなんとなく始めた芸能のお仕事が、自分にとってなくてはならないものになっていたんですね。復帰してからは、一つひとつの仕事を今まで以上に大切に感じるようになったし、現場ごとに自分に求められる役割をより丁寧に、責任を持ってまっとうしたいと思うようになりました。

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