昭和天皇と香淳皇后が国賓として訪英

 キャサリン妃は、3月にがんを公表後は表に出ることはなかったが、公式誕生日には馬車に乗って登場。沿道の人々から拍手と歓声に迎えられている。だが、病状については「危機は去っていない」と率直に打ち明け、その後また公務は控えている状況だ。

 さらに5月22日には、英国のスナク首相が突然、7月4日に総選挙を行うと発表。英王室は選挙に影響を与える可能性のある活動は控えるのが伝統で、すでにいくつかの公務が中止、あるいは延期された。選挙期間中は国賓を招くことを避ける傾向もあり、17年にはスペインのフェリペ国王の訪問がキャンセルになっている。

 そんな中、日本から天皇、皇后両陛下を招くことについて、デイリー・エクスプレス(オンライン)は「チャールズ国王の強い希望がある。専門家は『日本はイギリスにとって経済的・防衛的に重要な国である』とし、日英は互いに助け合う間柄にあるからだ」と報じている。

 とはいえ、チャールズ国王の負担軽減と選挙への配慮をしなければならないからだろう。両陛下の滞在8日間のうち、6月25日から27日までの3日間は国賓待遇として、その前後の日程は私人としての活動・訪問と位置付けられた。(ジャーナリスト・多賀幹子)

AERA 2024年7月8日号より抜粋

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多賀幹子

多賀幹子

お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てジャーナリストに。女性、教育、王室などをテーマに取材。執筆活動のほか、テレビ出演、講演活動などを行う。著書に『英国女王が伝授する70歳からの品格』『親たちの暴走』など

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