モンゴルでは乗馬も体験する。同じアジアでも全く異なる文化を体験する貴重な機会だ(写真:佼成学園中学校・高等学校提供)
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 グローバル教育を実践する中学、高校が増えている。背景には大学入試への対応以外に、保護者の意識の変化もある。世界で活躍する人材育成に取り組む現場に聞いた。AERA 2024年7月1日号より。

【写真】佼成学園グローバルコース、起業家へのプレゼンの様子

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 中学、高校でのグローバル教育の充実は今、学校の魅力を語るうえで欠かせないものになっている。教育ジャーナリストの神戸悟さんはこう解説する。

「21年の大学入試から英語4技能試験が合否に取り入れられると発表されたことが、中高のグローバル教育重視に拍車をかけました。結局4技能試験は導入されませんでしたが、そうした話が出てき始めた15年ごろから中高が対応を始めました」

語学力も価値観も

 保護者の意識の変化もある。ここ30年停滞する日本経済を見て、視線は海外に向き、海外大学への進学、あるいは海外で働く選択肢を考えれば、子にはある程度の英語力を身につけさせたい。そう考える親が増えた。

「特に首都圏においてはその意識が高い。中学受験受験者数は今年は微減でしたが、昨年は過去最多。志願者が増えている学校は共通して、グローバル教育に力を入れているのです」

 佼成学園中学校・高校(東京都)では元々、グローバルリーダープロジェクトと題して、中学時の海外でのフィールドワークに力を入れていたが、中高を通してグローバル教育を充実させようと、21年度にグローバルコースを設けた。中学1年から高校2年まで、各学年でアジアや米国への研修が充実するが、渡航先は学年ごとに目的が異なる。同校の北野尚之グローバル教育推進部長はこう語る。

「世界で活躍する人材を育てるには、まずは自分たちが住んでいるアジアを知らなければ始まりません。中学では語学力を上げることはもとより世界の価値観に触れる体験を重視し、高校に上がるにつれ、より実践的な研修になるよう工夫しています」

起業家へのプレゼンも

 中学1年時にはモンゴルでの異文化体験が必修だ。同じアジアでも日本とはまったく違う風景が広がるモンゴルでは、都市部への訪問はもちろん、草原のゲルでの寝泊まりも体験する。英語はほとんど通じない。

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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