「現地の家庭にホームステイもしますし、研修の間は現地の学生パートナーとなるバディがそれぞれ付きます。意図的に何とかするしかないという状況を作って、切羽詰まったときに力を発揮できるかどうか。この経験の有無によって課題への取り組みの意識や、物事の見え方は如実に変わってきます」
その後、研修先は中学2年時にはフィリピン・マニラ、中学3年時にタイ、高校1年ではベトナム、高校2年は米国・ボストンと続く。すべて必修だ。
「ベトナム、ボストンでは、理論と実践を重視し、社会課題解決のためにプロトタイプを作りながら社会実装を目指します。ベトナムでは、現地の大学生とインタビューワークなどで社会課題を洗い出し、解決方法を提案。ボストンでは、日本で1年間かけて作ってきたプロダクトを現地の起業家にプレゼンします」
グローバルコースでの取り組みはもはや社会人に近く、こうした実践の経験を生かし、大学在学中に起業した卒業生もいる。必然的に海外大学への進学志望は増え、グローバルコースの1期生はシンガポールの名門・南洋理工大学など、9人が海外に進学した。
「首都圏と地方部で差はありますが、中高の教育に求められるのは、もはや大学に受かるための教育だけではありません。閉塞感ある日本に不安を感じ、世界のどこであっても活躍できる人材を育ててくれる。そういった教育を提供できる中高がこの先は生き残っていくのではないでしょうか」(神戸さん)
(編集部・秦正理)
※AERA 2024年7月1日号より抜粋