一日警察署長を務めた南野陽子

夫の逮捕までは想定外だった?

 話を南野に戻すと、99年から大手事務所に所属。これが安定した活動につながったが、昨年末にまた独立した。

 一説によれば、トラブルメーカーの夫を持つ彼女に大手事務所が仕事を入れることをためらい、もっと仕事をしたい彼女が不満を持ったという。大手事務所にすれば、いつ逮捕されるかもしれないという不安を抱えていたのだろう。

 一方、彼女にとって逮捕はあくまで想定外で、むしろ、トラブルが報じられても我が道を貫く夫に自分の生き方と似たものを感じていたのかもしれない。

 そういえば、2014年のインタビュー(「語れ!80年代アイドル」KKベストセラーズ)で、彼女は夫婦関係について興味深い話をしている。「私が若くてAKBに入ったら、絶対に1位になれると思う」「テレビ観ながら『ほら!この人、整形してる!』とか(言っているときが)いちばん楽しい」などという流れのあと、

「自慢話と人の悪口を、主人は聞き流してくれるんだもん。言葉は悪いけど、ゴミ箱みたいな存在(笑)」

 と、毒舌をまじえつつ、ノロケていたのだ。

 こういう仲だったからこそ、12年以上も夫婦でいられたのだろうが、彼女は現在「仮面ライダーガッチャード」(テレビ朝日系)に主人公の母親役で出演中。12月22日には、その映画版も公開される。青少年がターゲットの作品とあって、そのあたりも離婚やむなしという判断につながったのではないか。

 それにしても、これが20代~30代での挫折なら若気の至りで乗り越えられそうという見方も可能だ。しかし、彼女は56歳。アイドル時代に人気を博したラジオ番組のタイトル「ナンノこれしきっ!」とはちょっと行かないかもしれない。

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宝泉薫

宝泉薫

1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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