鬼殺隊最強と言われる岩柱・悲鳴嶼行冥。アニメ「柱稽古編」公式HPのキービジュアルより。(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
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【※ネタバレ注意】以下の内容には、アニメ、既刊のコミックスのネタバレが一部含まれます。

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鬼滅の刃』アニメ「柱稽古編」第7話は、これまでのエピソードの点と点がつながり、アニメでしかできない演出の妙が際立つ回となった。今回は鬼殺隊最強の男・悲鳴嶼行冥の“悲しき過去”が明らかになったが、彼の心に渦巻く苦悩は、その身を鬼殺隊にささげた今も、まだ解決されてはいない。悲鳴嶼は何のために戦い、何を思って涙を流しつづけるのか。彼が見せる「怒り」の原点とは何か。第7話のエピソードから考察する。

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鬼殺隊最強の男が抱える「闇」

 鬼殺隊最強と称される岩柱・悲鳴嶼行冥(ひめじま・ぎょうめい)。220センチ、130キロという恵まれた体格は、周囲の剣士と比べても明らかに突出している。遊郭の鬼からその身体を「妬ましい」とすら言われ称賛された元音柱・宇髄天元でも、198センチ、95キロ。悲鳴嶼の体躯はこれをゆうに超えるのだ。

 悲鳴嶼は乳児の頃の高熱が原因で失明しているが、それを感じさせない勘の鋭さによって、鬼との戦闘でも後れをとることは決してない。柱の中でもリーダー格の人物として、若い少年少女の隊士たちからも慕われていた。しかし、悲鳴嶼はいつも涙を流し、念仏をとなえている。彼の心は、決して晴れやかなようには見えない。柱稽古では、炭治郎にその心の内を吐露している場面があった。

「私は本当に疑り深くなったように思う 君のことも勿論疑っていた」(悲鳴嶼行冥/15巻・第135話)

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植朗子

植朗子

伝承文学研究者。神戸大学国際文化学研究推進インスティテュート学術研究員。1977年和歌山県生まれ。神戸大学大学院国際文化学研究科博士課程修了。博士(学術)。著書に『鬼滅夜話』(扶桑社)、『キャラクターたちの運命論』(平凡社新書)、共著に『はじまりが見える世界の神話』(創元社)など。

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