聖地になったヒーリングスポット

 翌日は、全州をあとにしてバスで30分ほどの完州へ。無名の田舎町だったこの完州を一躍有名にしたのが、BTSのDVD「2019 BTS SUMMER PACKAGE」だ。撮影場所となった我園古宅(アウォンコテク)という複合施設は、BTSが1週間も滞在したことで「聖地」となった。

我園古宅ではこんな看板も見つけた。完州は、DVDの撮影でBTS訪れて以降、ヒーリングの聖地として人気に。ARMYたちが引きも切らない

 バスを降り、我園古宅の入り口まで歩いていくと、目の前に緑深い山々が連なる絶景が広がり、思わずため息がこぼれた。敷地内には洗練されたギャラリーと、晋州(チンジュ)から移築されたおよそ250年前の古宅など、大きく4つの韓屋が建つ。いずれも宿泊が可能で、1棟貸し価格は1泊約50万ウォン(約5万円)からだという。

我園古宅にある築250年の韓屋「煙霞堂」。建物内に2つの部屋とバスルーム、楼閣丸があり、1棟貸しで1泊約50万ウォン(約5万円)
我園古宅のギャラリーでは、陶器の企画展を開催していた。壁一面の大きな鏡に山々と映像作品を映して観ることでより没入感を感じられる

 我園古宅だけではない。近くには、ブックストアを併設した宿泊施設「所陽古宅(ソヤンコテク)」もある。ブックストアは宿泊者用ラウンジとしても使われていて、毎月入れ替えているという本は、その時々にテーマを設けてセレクトされているという。韓国で流行しているワーケーション需要にも対応し、施設内はWiFi完備。一方で、デジタルデトックスと大自然のエネルギーを求めて訪れる若者や、家族連れも多く、ぞれぞれのニーズに合った楽しみ方ができるのがいい。

所陽古宅にあるブックストア。本の販売はもちろん、飲み物も提供する。店の奥のデッキには読書スペース兼プールもあった
昔の生活様式を感じられる所陽古宅のバスルーム。設えも外の景色も美しく開放的で、長風呂になること必至

 車で10分程度のところには、珍しい白いスンドゥブが食べられる「元祖ファシム豆腐」や韓屋を改装したおしゃれカフェなども点在。街めぐりも楽しむことができる。

「元祖ファシム豆腐」のスンドゥブチゲ白湯は8500ウォン(約850円)。アサリの出汁が効いていて、見た目は白いがちょっぴり辛い
庭で小さな舟にも乗れる大型韓屋カフェ「TIROL」。完州はショウガが名産ということで、自家製のジンジャーエールをいただいた

 ユニバーサルミュージックのウェブサイトには、BTSは国内外のARMYに韓国の美しさを伝えるために「2019 BTS SUMMER PACKAGE」を韓国国内で撮影した、とある。美しい、おいしい、楽しい街は、きっとほかにもたくさんある。この夏は、まだ見ぬ韓国を探しに出かけてはどうだろう。

(文と写真 生活・文化編集部 清永愛/取材協力 韓国観光公社)

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