新年を迎え、初詣へと、神社や寺院を訪れる機会も増える時分。なかには七福神巡りをする方もいらっしゃるのではないでしょうか。
明治政府によって神仏分離が行われる以前の江戸時代には、お寺と神社は一体のもの、日本古来の神々は仏と習合していましたが、その象徴が"七福神"。七福神の宝船には、インド、中国、そして日本の神が乗りあわせているのだといいます。
インドの神だった大黒天・毘沙門天・弁財天、中国道教の神である寿老人・福禄寿、中国禅宗の僧である布袋和尚、そして日本の神である恵比寿。色々な国の神や仏が一緒になり、幸運を祈る福神となっています。
こうした七福神巡りや初詣もお正月らしくて良いものですが、少し落ち着いたならば、各地の寺院に祀られている仏像をゆっくりと眺めてみてはいかがでしょうか。
本書『日本のたしなみ帖 仏像』には、仏像の歴史を辿りながら、如来像、菩薩像、名王像、天部像といった、それぞれの仏像の特徴を解説。注目すべき点などをわかりやすく教えてくれます。
たとえば、坐っている姿の仏像を前にしたならば、その坐り方にも注目してみましょう。
両脚を交差させ、両太ももに両脚を乗せる坐り方の"結跏趺坐"(けっかふざ)。右脚のみ左脚の太ももに乗せる"半跏趺坐"(はんかふざ)。右脚を立て、左脚の付け根に寄せた立膝坐りの"輪王坐"(りんのうざ)。椅子状の台座に坐った像のうち、両脚をそろえて下げ下ろした姿の"倚坐"(いざ)。そして同じく椅子状の台座に坐った像のうち、左脚を下ろし右脚だけ左膝上に乗せた"半跏倚坐"(はんかいざ)。このように仏像には、坐り方ひとつでもさまざまなものがあるといいます。
また釈迦が1丈6尺(4.85m)であったという信仰に基づき、これらの仏像の大きさは1丈6尺が基本となっており、坐像の場合は、ちょうどその半分の8尺(2.42m)の大きさなのだとか。もちろん、東大寺の"奈良の大仏"や高徳院の"鎌倉の大仏"のように巨大な仏像もありますが、基本の大きさは1丈6尺なのだそうです。
ほんの少しの知識で仏像の見方はがらりと変わるもの。初詣のみならず、それぞれ特徴を持った仏像を拝しに寺院を訪れてみてはいかがでしょうか。