ハンターが黒塗りを入れて掲載した「告訴・告発事件処理簿一覧表」の一部(2023年10月25日配信記事より)

「私は『告訴・告発事件処理簿一覧表』を手に入れてハンターで記事にしている。鹿児島県警はそれを警察官にカネを払って情報を出させたと疑っているが、1円のカネも使っていない。悲しみにくれている被害女性スタッフや病院関係者がおり、腐敗している県警の中の数少ない正義ある警察官の内部告発もあり、頑張って書いている。県警は『一覧表はこちらのものだから返せ』という話だが、メディアとして情報源を明かすわけにはいかない」

 4月8日、また中願寺氏から電話があり、
「家宅捜索が入った」
 と言って、すぐに切れた。この日、福岡市内の中願寺氏の自宅兼「ハンター」事務所に県警が家宅捜索を強行した。

 同日、県警は曽於署の藤井光樹巡査長(49)を地方公務員法違反(守秘義務違反)の疑いで逮捕した。23年6月と今年3月に、「告訴・告発事件処理簿一覧表」などの内部情報を第三者に漏らした容疑だった。ハンターの中願寺氏宅に家宅捜索が入ったのは、その直後のこと。藤井巡査長の情報漏洩先として強制捜査を受けたのだった。

 私はハンターなどのメディアで警察の不正を追及してきた札幌市在住のジャーナリスト、小笠原淳氏と連絡をとりあった。中願寺氏が逮捕される可能性がある、と意見は一致した。

携帯電話、パソコンが押収された

 私には苦い経験がある。
 2002年年4月、当時、大阪高検公安部長だった三井環氏が突然、身内の大阪地検特捜部に逮捕された。マンションを購入するときに居住実態がないのに住民票を移し、税金の軽減措置を受けるため役所から申請書類をもらったことが詐欺などにあたるという異例のものだった。それまで三井氏による検察の裏金問題の匿名告発を、週刊朝日などが何度も記事にしていた。逮捕された日には三井氏が実名で記者会見を行い、その場で検察バッジを外して辞める計画を極秘で進めていた。だが、特捜部の「口封じ逮捕」で計画はすべてダメになってしまった。
 現職警官の藤井巡査長も逮捕され、捜査権力を敵にまわすと中願寺氏も同じ命運をたどるのかと、正直思った。

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