正しい食事と運動習慣で健康な腎臓を維持する

 検査の結果、慢性腎臓病の予備群だとわかったらどうすればいいでしょうか。もっとも重要なのは血圧のコントロールです。高血圧になると動脈硬化が進みますが、腎臓の血管は細いために動脈硬化の影響を受けやすく、腎機能が低下していきます。腎機能が落ちると排泄調整がうまくいかずに血圧が上がるため、悪循環でさらに慢性腎臓病が進みます。すでに高血圧の人は、降圧剤を服用するなどして適切に血圧をコントロールしてください。

「AGE」という老化促進物質も腎臓の大敵です。AGEは体中の正常な組織にくっついて炎症を起こします。腎臓の場合は膜に穴を開け、そこからアルブミンなどのタンパク質が漏れ出てしまうわけです。

 AGEはさまざまな要因でつくられます。ブドウ糖がタンパク質と結びつくことでもAGEになるので、糖質の摂りすぎは厳禁です。そもそもAGEはあらゆる食品中に存在していますが、食品を加熱することでその量が加速度的に増えます。よって、食事は可能な限り「生」がベター。魚なら焼き魚よりもお刺身、豚肉ならとんかつより豚しゃぶのほうが腎臓に優しいです。

 また、適切な運動も忘れてはいけません。かつては「腎臓病は安静第一で、運動は制限」が一般的な考え方でした。激しい運動をすると、尿タンパクが増えることがあるからです。しかし現在は研究が進み、適度な運動はかえって腎臓によいことがわかっています。つまり、腎臓病予備群の人がフィットネスクラブで筋トレをするのはOK。軽い運動は糖尿病やアルツハイマーの予防にもいいですから、むしろやるべきです。

 問題はフィットネスクラブのビジネス戦略にハマり、プロテインを摂取することです。考えてみてください。人類が生まれた600万年前にプロテインは存在していません。プロテインは人体には本来必要がなく、摂取することはリスクです。プロテインメーカーやフィットネスクラブの思惑に踊らされることなく、正しい知識を身につけて健康な腎臓をキープしましょう。

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年6月14日号)の一部を再編集したものです。

(牧田善二:AGE牧田クリニック院長)

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