キングス・カレッジ・ロンドンのヤング氏らも、「UVB はビタミン Dの合成に不可欠ですが、日焼けや皮膚がんの主な原因である。紫外線による悪影響を軽減するために日焼け止めの使用が推奨されている一方で、ビタミン D の状態が悪化する可能性があり、理論的には、日焼けを抑制する日焼け止めは体内でのビタミン D 合成も抑制するはずだ。今までのところ、ビタミン D 合成に対する日焼け止めの阻害効果に関する研究では矛盾した結果が得られている理由の 1 つは、おそらく人々が通常、日焼け止めを最適ではない方法で使用していることが挙げられるだろう」と指摘した上で、「日焼け止めは、日焼けを防ぎながらビタミン D の合成を可能にするために使用できる。高 UVA-PF 日焼け止め剤は、低 UVA-PF 日焼け止め剤よりも、より多くの UVB 透過を可能にする結果、ビタミン D 合成を可能にする。」と医学論文(※5)の中で指摘しています。

 医学論文を調べ、日焼け止めとビタミンDについての現状がわかった私は、「過度に日光を避け、日焼け止め対策を徹底する必要はないんだ。」と納得することができ、ゴミ捨てや犬の散歩など、ちょっとした時間の外出では、日焼け止めクリームは塗らず、ただ帽子を被り、直射日光を避けるだけにしました。そして、カーテンを開けて、貴重な光を部屋の中に入れることにしました。

 過度に紫外線を恐れて日光を避ける生活をやめたこと、適度に日を浴びるようになったことで、なんだか気持ちが楽になったような気がします。ビタミンDやそれが欠乏していたことについて、共有してくれた彼女がいなかったら、私は過度な日焼け対策をこれからもずっと続けていたかもしれません。光を浴びることも大切なんだよと教えてくれた、彼女には感謝の気持ちでいっぱいです。

【参照URL】

※1 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25207381/

※2 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25207381/

※3 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30945275/

※4 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9002342/

※5 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6899952/

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山本佳奈

山本佳奈

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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