写真はイメージ(GettyImages)

 しかしながら、ビタミンDは食事による摂取だけではなく、紫外線(UV-B)に当たることによって、体内で合成することができるという特性があります。(皮膚において7-デヒドロコレステロールが紫外線(UV-B)によってビタミンD3に転換された後、肝臓で25ヒドロキシビタミンD 〔25(OH)D3〕 が生成される。その後、腎臓で活性型ビタミンDである1α-25ジヒドロキシビタミンD〔1,25 (OH) 2D3〕 に代謝され、小腸でのカルシウム(Ca)の吸収を高め、骨からの溶出を促進することで、血中のカルシウム濃度を調整する。)

 特に魚やきのこ類の好き嫌いもなく、偏食もないという彼女は、ビタミンD欠乏に陥っていた理由として、長年、夏も冬も一年中、日焼け止めクリームを塗っていた結果、体内でビタミンDの合成量が減ってしまっていた可能性があるのだといいます。だから、彼女と同じように一年中、徹底した日焼け止め対策をしている私も、ビタミンDが体内で不足している可能性があるというのです。

医学文献を検索してみると

「彼女の言う通りかもしれない……」そう思った私は、医学文献を検索してみることにしました。すると、日焼け止めの使用は皮膚がんの予防につながる一方で、ビタミン D 欠乏症のリスクを高める可能性があるという懸念(※1)が長年されており、公衆衛生における、主要な議論の一つ(※2)となっていることがわかりました。

 しかしながら、毎日の日焼け止めの使用がビタミンD欠乏症につながるという証拠は、ほとんどない(※3)のが現状のようです。

 例えば、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のバイクレ氏は、「日焼け止めはビタミン D 生成に関する利点を制限することなく、太陽光への露出による皮膚へのダメージに対する予防に有効である。しかし、文化的または医学的な理由で太陽光への露出を避けている人々は、ビタミン D 欠乏症の検査を受け、サプリメントで適切に治療する必要がある。」と医学論文(※4)の中で述べています。

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過度に日光を避けない生活に