ただ長年、傑出した個の力に頼り過ぎる戦い方は指摘されており、特にグリーズマン不在時に攻守のバランスが一気に悪くなる。攻撃陣の面々も含めて、チームが窮地に陥った時にでも、常に泥臭く戦い続けることができるか。大会中、デシャン監督が勝利を重ねながらチームの団結力を上げていくことができるか。フランスが一丸となることができれば、頂点に立つことはそれほど難しいことではない。
開催国のドイツは、カタールW杯での失態から蘇った。所属クラブでの今季公式戦47試合で18得点20アシストと傑出したパフォーマンスを披露したフロリアン・ヴィルツ(レバークーゼン)と至宝ジャマル・ムシアラ(バイエルン)の21歳コンビが非常に楽しみであり、MFイルカイ・ギュンドアン(バルセロナ)、DFアントニオ・リュディガー(Rマドリード)の存在、DFヨナタン・ター(レバークーゼン)の台頭も頼もしい。そして若き知将ナーゲルスマン監督のもと、トニ・クロース(Rマドリード)が代表復帰を果たしたことで一気にチームの完成度が上がった。最後方にはマヌエル・ノイアー(バイエルン)とテア・シュテーゲン(バルセロナ)のGKがおり、ビッグトーナメント優勝国の条件である「優秀なGK」を完璧にクリアしている。課題は1トップの人選、能力だが、地元の大声援を背に、1トップで期待のFWカイ・ハバーツ(アーセナル)が勢いに乗れれば、一気に視界は開ける。
前々回の2016年大会で初優勝を飾ったポルトガルは、世代交代が成功した感がある。クリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスル)が39歳ながらまだトップレベルで戦える力を備えており、ベルナルド・シウバ(マンチェスターC)、ラファエル・レオン(ミラン)、ジョアン・フェリックス(バルセロナ)と魅力たっぷりのアタッカー陣を擁する。その他にも、中盤にはブルーノ・フェルナンデス(マンチェスターU)、ヴィティーニャ(パリSG)、DF陣にはルベン・ディアス(マンチェスターC)、ジョアン・カンセロ(バルセロナ)と欧州トップクラブでプレーする実力者たちを揃えている。