前者は、10年物国債の需給、長期の日本国債を買いたい人と売りたい人の動向に大きく左右されます。後者は、銀行間金利に働きかけることで日本経済を復活させようとする日本銀行の金融政策から影響を受けやすく、日銀が低金利政策を続ける限り、変動金利は低く抑え込まれやすくなります。そして、日本では、日銀が低金利政策を10年以上続けていることや、日本経済の状況を考えたら日銀は銀行間金利を上げられるわけがない!と考えるビジネスパーソンが多いのか、変動金利で住宅ローンを借りる人が7割程います。

 また、不動産会社も、今のところ変動金利が0.3%-0.7%ほど(銀行や個人の与信で違う)と低いのもあり、35年間低金利政策が続くことを見据えて、顧客に物件紹介をすることが多いようです。

金利は、中央銀行が完全にコントロールできるほど甘くない

 たしかに、日本の債務状況(政府債務と経済成長には負の関係がある)、少子高齢化、世界の地政学リスク……などなど日本経済の壁は多数あります。なので、日銀は低金利政策をやめられないというのは正しいように見えます。でも、有事の時は、中央銀行が全て操作できるほど金利は甘くないです。

 私はリーマン・ショックという不動産会社がバンバン潰れる絶句するような金融ショックのときに、投資銀行に入社しました。日本では、日銀が機動的に動いたことで、銀行間金利は相対的に低い状態が維持できました。しかし、欧州では金融ショックと同時に銀行同士の疑心暗鬼が生じて、銀行間金利が上昇するケースが多発しました。実は、バブル崩壊のときも日本では近いことが起きたのです。

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35年後なんて誰もわからない