AERA 2024年6月10日号より

 眠る時間帯を変える際は30分ずつ前倒ししていく。寝覚めがすっきりするまで同じ時間に起き、さらに30分縮める。

「9割の人は、自身の『朝型』や『夜型』を自由に変えられます。体がリズムを記憶すると、起きるべき時間帯にコルチゾールという物質が分泌され、体温が上昇して目覚めを促します」

 秘密兵器が、強い光で起こしてくれる「光目覚まし」。数千円で買え、驚くほど効果抜群だ。

 体内物質をコントロールするだけに、頻繁な時間変更は体への負担になるので控えよう。

ラリー・ペイジのチーム睡眠戦略

【メリット】チームの出力を最大化できるリーダー術

【デメリット】強制はパワハラ! 繁忙期スタートは絶対に避けて

 最後に紹介する「チーム睡眠戦略」はグーグル(現アルファベット)のラリー・ペイジ氏、ナイキのフィル・ナイト氏ら優れたリーダーが自社に採り入れている今注目のリーダー術だ。

 リーダーが会議で方針や戦略を伝えても、部下は昨夜の寝不足を解消する絶好の機会と捉えていることも多い。もし部下たちが本気でリーダーの声に耳を傾けたら、チーム力は格段に上がるはずだ。また、リーダーがメンバー個人の様々な問題に立ち入るのは難しくても、メンバーが質の良い睡眠さえ取れればメンタルを良好に保て、組織のダメージを未然に回避できる。

 導入は(1)リーダー自身が職場で昼寝を取る(2)部下にアイマスクをプレゼントして昼寝を勧める(3)職場で「お昼寝タイム」を採り入れる──といった形で進める。部下が睡眠の回復効果を実感したら、自然に睡眠改善への関心が高まるはずだ。

「職場の飲み会は、睡眠不足になっても仕事への影響が最も少ない木曜日がおすすめです」

 ただし今の時代、強制はパワハラと受け取られる可能性もあるのでご注意を。

 人生の3分の1を占めるといわれる睡眠の使い方を、この機会に真剣に考えてみては。(朝日新聞社・上栗崇)

AERA 2024年6月10日号より抜粋

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