鈴木涼美さん

「たまたま仕事で出会った相手との純愛不倫と、銀座のホステスとの不倫ならどっちが嫌か」と聞いてみると、人によって意見が違うものです。「水商売の相手は仕事だろうけど、お金が介在しない場合は相手が本気になってしまうかもしれないし、心が持っていかれる気がする」という人もいましたが、私の母は「銀座のクラブに通ったらうちの家計が苦しくなる。それなら一切お金を使わない純愛の方がまし」って切り捨てていました(笑)。

 あるいはもっと複雑に、不倫相手の“属性”によっても、怒りの度合いが変わりますよね。

うまいこと遊んでいる人の“決め事”

――属性とは……?

 女性に、夫の不倫相手や彼氏の浮気相手がブスの方が凹むか、美人の方が凹むかと聞くと、人によって答えが両極で面白いですし、男性の場合は社会的立場が上か下かとか収入の大きさを気にしたりします。

 以前、たまたま番組でご一緒した活躍中の芸人さんたちに、「いいなと思った女の子に『私、実は超大御所芸人の元カノなの』って言われるのと、『駆け出しの若手芸人の元カノなの』って言われるのと、どっちが嫌ですか?」と聞いたことがありますが、一人の芸人さんは「絶対に後輩のほうが嫌」と譲らず、もうお一方は「先輩の元カノはとんでもない、絶対に無理です」とおっしゃっていました(笑)。

 あまり褒められたことではないですが、うまいこと遊びながら家庭も幸福そうな人を見ていると、最後の最後でパートナーが一番傷つくだろうなという相手は絶対に選ばない、というような自分の中の決め事があったりします。

 たとえば、東大を出て弁護士であることにプライドを持っている妻だったら、若くて可愛いキャバ嬢と不倫されるより、ハーバード卒の国際弁護士と不倫されるほうがきっと自尊心が傷つくだろう、とか。相手のことをよく考えるとその人が何を尊んで何を軽蔑するかというようなことへの想像力は培われると思うんです。

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「何で喜ぶか」より「何で傷つくか」