オーストラリア原産のティーツリー。その精油は最近、洗濯洗剤や石けんなどに配合されていて、私たちの身近なところで使われています。精油の中でも抗菌・抗ウィルス作用がケタはずれに高いティーツリー。免疫力が弱くなる冬こそ使いたいアロマです。

殺菌力が強い精油だけど、花は白くてかわいらしい。
殺菌力が強い精油だけど、花は白くてかわいらしい。

原産はオーストラリア。キャプテン・クックも愛用。戦争では傷の手当に用いられた。

オーストラリアの原住民は昔から、ティーツリー(Tea tree)の木を「茶の木」と呼び、感染症や皮膚病の治療に使っていて、その抗生物質的な特性についてもよく知られていました。
18世紀のイギリスの探検家、キャプテン・クックがはじめて「ティーツリー」という名を使ったといわれ、船員たちがお茶の葉のかわりにこの木の葉を用いたところ、スパイシーで気分をリフレッシュさせるものだと気づきました。
ティーツリーには、殺菌作用が強いテルピネン4オールという成分が豊富に含まれています。この成分が多ければ多いほど、治療特性が高いとの報告があります。第二次世界大戦のときは、兵士の傷の手当にティーツリーが用いられました。
現在ではその効能が広く認められていて、オーストラリアの重要な輸出品になっています。日本でも家庭用として、天然のティーツリーの精油が配合された衣料用・食器用の洗剤、シャンプーや石けん、クリームなど、身近なところで使われています。

とにかく効能重視 !! 抗菌・抗真菌・抗ウィルスと3拍子そろった、冬の強い味方。

ティーツリーの学名は、Melaleuca alternifolia。フトモモ科の木で、精油の香りはスパイシー。“汚”を“清”に変える爽快さがあり、若干、松やにのような香りもします。精油の色は透明。さらっとしているので、精油を1滴落とすのがスムーズにできます。香りを楽しむというよりは、効能重視の精油です。
成分は大きく分けて4種類。
・モノテルペンアルコール類(30~50%)……強い殺菌、抗真菌、抗ウィルス
・モノテルペン炭化水素類(40~60%)……空気中の酸素と反応して分解し、雑菌を退治
・セスキテルペン炭化水素類(2~10%)……消炎、抗アレルギー
・オキサイド類(2~10%)……気管支粘膜に作用して痰を出しやすくする
ティーツリーはキリッとした香り。リラックスや安眠に使うような精油ではありませんが、免疫力が低下する冬にはぜひ使いたい、頼もしい精油です。

掃除、洗濯、家事、うがい、空気清浄、口臭予防…。使い道はいろいろ。

風邪のときをはじめ、空気の浄化、洗濯や食器洗い、口の中の洗浄、リフレッシュなど、ティーツリーはいろいろな場面で使うことができます。
普段使っている洗剤やシャンプーにティーツリーを加えたり、雑巾を洗うバケツにティーツリーを入れたり、洗濯のすすぎの水にティーツリーをたらしてもOK。
水100mlにティーツリー10滴ほどを入れたスプレーを常備して、台所周りにスプレーしたり、部屋やカーテンにスプレーしてもOKです。
以下のレシピで使うと、さらに効果的です。
【うがい】…コップにぬるま湯を注ぎ、ティーツリー1滴と、お好みで塩を一つまみ加えてうがいする。
【風邪のひきはじめの入浴】…熱めのお風呂や足浴に、塩とティーツリーを入れて体を温め、すぐに寝る。
【口臭予防】…100mlのぬるま湯に、ティーツリー1滴、ペパーミント1滴、レモン1滴を入れてうがいをします。このレシピは、のどが痛いときや歯肉炎予防にも有効です。
【空気の浄化】…レシピはティーツリー4滴、レモン2滴、ユーカリ4滴。方法は、電動のディフューザーで拡散させる、マグカップに60℃くらいのお湯を入れて精油を落とす、ティッシュに精油をたらして部屋に置く、水とエタノールに精油を加えてスプレーするなど。
【にきび・ふきでもの】…ティーツリーは原液塗布が可能です。めん棒にティーツリーをつけ、にきびやふきでものにピンポイントで塗ります。化膿しづらくなります(広範囲で使用しないでください)。

※精油は天然成分100%のものを使用してください。
※ピンポイントで原液塗布するとき以外は、直接、肌に触れないようにしましょう。
※使用して皮膚に異常があらわれたときは、すぐに使用を中止し、医師に相談してください。
冬は気温が下がり、空気が乾燥し、免疫が下がります。抗菌・抗ウィルス作用が強力なティーツリーを上手に利用して、風邪や感染症にかからずに、この冬を過ごしたいですね。