木本武宏さん

しんどくても「最初の一歩」だけやってみる

 そして翌日、パッとテーブルを見たら、その周りもちょっとだけ整理する気力が少しずつわいてきて。気が付いたら部屋の掃除をしだしていました。今度は自分の体もきれいにしようと思って、シャワーも浴びるようになって。今思い返したら、リモコンをそろえたことから、気持ちがもう一回シャンとしだしたという記憶があって。

 そうなれたら今度、たまたま千原ジュニアさんが連絡をくださって。「外に出たほうがええんちゃうか」と言ってご飯に連れて行ってくれて。恐る恐る久々に外に出て、こんな俺にも普通に話してくれるんだと思って。俺、こんなんやったなって取り戻して。そこからすごく生活が変わっていったというか。

 結局、最悪なことが起こったら全てがしんどくなるから、細いほう、狭いほうへ精神的に行きがちですが、そっちに行ってしまうと、事が動くきっかけは絶対にやってこないから。しんどくても何か最初の一歩だけ、ちょっと「よいしょ」と思うことをやってみて、人としゃべるというのが全てかなと思っています。

たかまつなな

――人生観は変わりましたか?

 枠の中だけで仕事をしていたなと気づくきっかけになりました。プロダクションに入り、ライブからはじめ、テレビに呼んでもらうようになり、テレビで忙しくなった。少し知名度も上がった。呼んでもらえるところに行く。とりあえず常に待ちの姿勢。いわゆる芸能界の仕事のいただき方しかしていなかったのは違うと思うようになりました。いつの間にかそんな錯覚を得ているうちに、それが当たり前になっているうちに、一歩外に出たら、それじゃ仕事が少なくなっていくだけだという感覚をつかめたというか。仕事って自分から作りにいかなあかんなって。

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よくないところでプライドが高かった