木本武宏さん

現実を見て見ぬふりをした

――その時点で止めようという自制は働かなかったんですか?

 いえ、むしろ勉強せなあかんと思うようになって、仮想通貨に興味ある人たちと情報交換を始めて、定期的に飲み会みたいな感じで集まるようにもなった。その中で、仮想通貨は停滞しているから、FXの方が面白いんちゃうかというので、FXのトレードにも手を出すようになってしまいました。FXの知識のある人に教えてもらうんだけれども、自分ではなかなか難しそうで、お金を預けるようになってしまうんですね。

――そんな経緯があって、お金を預けてしまったんですね。

 仕事もあって四六時中(FXに)触っていることはできないと思って、お金を預けるという判断をしたのですが、知識のある人間に任せて、預けてというこの一歩が、今振り返ると泥沼にはまっていく入り口だった気がしますね。

たかまつなな

――本来、他の人のお金を預かって運用する行為は、金融庁への届け出が必要ですが、それはご存じなかったのですか?

 そこも本当に意識が低くて。任せている人をFXのプロだと勝手に思いこんでしまっていて。ただ、今考えるとそれは都合のいい解釈やったなと思います。お金もうけを一直線に考えすぎていて、ちょっとした違和感に気づく時間を省いたり、深堀りするのを避けてスルーしたりしていたのだと思います。どこかで現実を見て見ぬふりをしていました

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仕事が減っていくのでは…という不安