2021年4月に宝塚歌劇団を退団して以来、舞台にミュージカル、歌と走り続けてきた。最新曲の「Breath」には、これまで言葉にしてこなかった思いを込めたという。AERA 2024年6月3日号より。
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3月20日にリリースしたバラード「Breath」は、素直に綴った自身の思いをアンジェラ・アキに託して生まれた。10年ぶりに日本で再始動したアンジェラによる復帰後初の楽曲提供曲でもある。
アンジェラさんの曲が大好きで、昔はよくカラオケで歌っていました。自分の心境や世の中の状況にも寄り添ってくれる曲が多いので、退団してからはコンサートでもカバーさせていただいていたんです。新曲をリリースするにあたって、アンジェラさんと面識があったわけではありませんが、私の希望を叶えていただき今回の曲は実現しました。
再スタート怖かった
宝塚歌劇団を退団して3年。どの舞台に出演しても「初めまして」の人がたくさんいて新鮮だった。「もう一度生き直してる感覚がすごくあった」と言う。その一方、宝塚時代とは違った悩みも出てきた。
ふとオフの自分に戻った時にちょっと頑張りすぎてないかなと思うようになっていました。若くもない年齢での再スタートですからやはり怖かった。楽しいことはたくさんあるけれど、その中で自分が一つ一つ選択していかなければならない。失敗できないという怖さがありました。昨秋は自分ではどうにもならない悲しいこともあって、そういう状況の中で、徐々に自分の人生って何だろう? 何のためにいま頑張っているんだっけ?と、いろいろな思いを抱えるようになっていきました。
そんな思いを歌詞に込めました。作っていただくにあたって、米国にいらしたアンジェラさんに当時抱いていた心のモヤモヤした思いや悩みをお話ししたんです。ただ、はじめは自分の深い思いをうまくお伝えできなかった。自分の中で眠ってる思いというものをお伝えした方がアンジェラさんも曲を作りやすいんじゃないかと思って、それまで言葉にしていなかった、人に吐き出していなかった思いを探り直しました。