悩みながら、2週間くらいかけて自分の思いをスマホに綴った。
最初はなにをどうお伝えしていいのかわかりませんでした。そもそも私はミュージカルやコンサートでも役柄や人の歌に自分の人生を重ねて歌っていたんです。自分自身の人生を歌に出すことはまずなかったので、自分のどの部分を出せばいいのかわからない状態でした。そんな中、今回プロデュースをしてくださった武部聡志さんや事務所の社長が、「いま一番思ってることを素直にお伝えしていいんじゃないか」と。それで、どんなことでもいいから書こう、とスマホに自分の思いをメモするところから始めました。
例えば、SNS。便利になった一方で、他人の評価が気になる自分がいました。やりたいことや思うことが、SNSでどう思われるのか気になって怖くて一歩を踏み出せない。そんな思いもお送りしました。
すべてが心に刺さる
アンジェラからデモが届いたのは、今年最初のミュージカル「イザボー」の公演中だった。
公演が終わった帰り道、夜タクシーの中で聴いたんです。高速道路は車も走っていますし、すごい音がしますよね。それがこの曲を聴いた後、無音になったんです。自分だけ景色が変わって移動しているという感覚で、不思議な体験をしました。すごく新鮮な空気が心に直接ダイレクトに染み渡っていくようでした。
歌詞には身近な言葉、例えば冷蔵庫といった日常生活に出てくる単語も多く出てきます。すごく自分に近いものを感じました。デモで聴くアンジェラさんのピアノでの弾き語りはとても澄んでいて、深呼吸したくなるほどでした。
好きな歌詞を聞くと、即座に「全部」と答えた。
その時々で変わるのですが、特に好きなのは冷蔵庫のくだりです。「何を目指して頑張ってるの? 自分に問いかけてみても 静寂の中 部屋の隅っこで冷蔵庫が微かに鳴る」って、なぜ私のこと知ってるのって。「少女時代描いてた未来はエメラルド色」も、なんて素敵な表現をされるのだろう、と思いました。
本当に一つ一つが身近だけど直接すぎない。素敵な言葉がたくさんちりばめられている。「世界の重さに耐えられない時」なんて、自分が世界を背負っているわけではありませんが、誰でもそんなふうに思う時ってあるじゃないですか。すべてが心に刺さる言葉だなって思います。